福士 圭介 教授
Fukushi Keisuke
研究紹介
液体の水の存在は生命に必須の条件です。生物は接触する外環境から液体の水を介して元素やエネルギーを取り込むので、水に溶けた成分の種類と濃度(これを水質とよぶ)は、その生物や生態系を特徴づける最も重要な因子でしょう。このことは、生命の誕生やその後の進化は、生命を取り巻く水質に支配されていたことを示唆します。過去の火星表面には大量の水があったといわれています。さらに木星の衛星エウロパや土星の衛星エンセラダスの表面は氷で覆われていますが、内部には海が広がっているといわれています。地球外生命の存在予測を目指して、水惑星の水質を定量的に明らかにする研究を行っています。
なぜ生命に水が必須かというと、水に溶けた有用な成分を生命が利用しているからです。それでは有害な成分が水に溶けていたらどうなるでしょう?有害な成分は有用な成分と一緒に生命に取り込まれ、生体に蓄積した量に依存して健康被害を引き起こします。私たち人類は、有害な物質を環境中に放出することがよくあります。一方、有害な物質が水に溶け込む量は、水質に依存します。特定の水質条件が整っていると、有害元素は水には溶けださず鉱物として不動化したりするのです。本研究室は有害元素の移動性を支配する要因を定量的に理解し、拡散を予測するとともに汚染を浄化するための研究を行っています。
研究対象
メッセージ
今世紀精力的に行われている火星探査から、太古の火星には海や湖が存在したことが確実となっています。また、現在でも火星には液体の水がひっそりと存在している可能性を示す観測も近年報告されています。地球の海や湖は生命にあふれています。かつての火星に存在した海や湖が地球と同じような環境なら、火星でも生命が育まれ、もしかすると現在もどこかに生き残っているかもしれません。生命が誕生し育まれる水の条件(味)とは何なのか?火星にそんな味の水があったのか?当研究室では水の化学に基づいて、地球や惑星と生命の謎を探求します。