ジェンキンズ ロバート 准教授
JENKINS, Robert G.
研究紹介
深海の極限環境に生息する動物たちの進化を,古生物学・地球生物学の視点で研究しています.深海に点在する温泉(熱水)や冷泉(メタン湧水,冷湧水)は貧酸素であることに加えて動物には毒となる硫化水素が充満しています.それにも関わらず,特殊化したエビや貝類などの動物がたくさん生息しています.そこに棲む動物の多くは微生物を共生させ,毒を無害化するどころかエネルギー源にもしているのです.彼らがどうやって進化してきたのか?化石と現在の生物を調べて明らかにしていく.それが本研究室の目的です.
最近では竜骨群集というまったく新しいジャンルの生物群集の研究をしています.深海の熱水環境に動物たちが適応する進化の足がかりにしたのがクジラなどの巨大な海洋脊椎動物や海底に落ちた流木(沈木)の分解環境だった可能性があるのです.極限環境動物の起源に巨大有機物塊の腐敗(分解環境)が関わっているかもしれないのです.それを化石研究から明らかにするのです.クジラ遺骸に成立する鯨骨依存生物群集(鯨骨群集)は,クジラが誕生する前から存在していました.恐竜が陸上をかっ歩していた白亜紀の海に繁栄していた首長竜などの海棲は虫類の遺骸に群がっていた生物がいたのです.それが,竜骨群集です.本研究室は世界ではじめて白亜紀に竜骨群集が存在していたことを明らかにしました.そして,竜骨群集の変遷を研究しています.
研究対象
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深海の熱水噴出孔に棲むエビのCT像
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海底にあるウミガメ遺骸の調査風景
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首長竜の骨断面
メッセージ
「わーお!」を連発することが研究室のモットーです.生き物や地球は驚きに満ちあふれています.教科書にはさもすべてが解き明かされたように書かれていますが,この世界は謎だらけです.特に極限環境と呼ばれる過酷な環境での生物の生き様には目を瞠ります.どうして,そこに生きているのか?不思議でなりません.どうやって?極限環境は生物にとって過酷な環境だから,そこでの生物進化は生命の限界を知ることにもつながるはずです.
極限環境生物の謎を一つでも,化石やいまの生物の調査から学生一人一人に解明してもらいたい.その新発見を研究室で共有して欲しい.世に伝えて欲しい.絶対面白いから.その手助けをするのが本研究室です.