大気環境変動学研究室

松木 篤
准教授 Matsuki Atsushi

『春一番 塵一つの 宇宙かな』
研究テーマ大気汚染,気候変動,エアロゾル=雲相互作用
研究分野大気環境科学,雲微物理学

 

研究紹介

黄砂やPM2.5に代表される大気中の微粒子(エアロゾル)は、ヒトへの健康被害だけでなく地球温暖化の問題とも密接に関わっています。これは微粒子そのものが太陽の光を散乱、吸収したり、雲ができるときに不可欠な『種』(雲凝結核、氷晶核)として働き、地球の気候を支配するエネルギーの出入りや水循環を変えてしまうためです。特にエアロゾルが雲を作る働きに対する理解の遅れが、地球温暖化を正確に理解する上でのネックになっているのです。
我々の研究室では大陸から偏西風によって運ばれてくる黄砂やPM2.5を念頭に、能登半島先端に大気観測サイトを設置しています。ここでは国内外の研究者と共同で長期的なエアロゾルの変化を観測しています。また、粒子の数や量を測るだけではエアロゾルが気候に与える影響を完全に理解することはできないため、最先端の顕微鏡技術(電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、顕微レーザーラマンなど)を駆使してナノ~ミクロスケールの粒子一つ一つをつぶさに観察・分析し、環境中でのふるまい(雲の作りやすさなど)を明らかにする研究にも力を入れています。

研究対象

メッセージ

冒頭の詩は、黄砂の氷晶核としての働きについて先駆的な研究をされた雲物理学者、小野晃教授(名古屋大学大気水圏科学研究所,1931-1988)が詠んだものです。春の嵐によって、大陸から運ばれる黄砂は、その長い旅の途中でさまざまな形や組成に変化します。研究室の学生たちも、電子顕微鏡を通してみる黄砂の粒々はまるで星空のようだと口を揃えますが、遠い先輩にあたる小野先生も、一粒の塵が見せる多様性に小宇宙を重ねていたことを知り、この研究には世代を超えて心をつかむワクワクに溢れているのだと、改めて深い共感を覚えました。この脈々と受け継がれる熱い研究のバトンを、次世代に繋いでくれる若者を待っています!