五十嵐 心一 教授
Igarashi Shinichi
研究紹介
コンクリートは世界中で最も多用されている長い歴史を持った「材料」です.コンクリートが強いか弱いか,長持ちするのかしないのかは,すべてその内部組織が決定します.目視できるレベルの構造から電子顕微鏡レベル,いわゆるマルチスケールで構造を観察し,その特徴を定量的に評価することに取り組んでいます.コンクリートを構成する材料は,基本的にランダムな空間配置を形成しています.そのランダムの中に潜む特徴量を見つけ,これをモデルリングして,シミュレーションにてコンクリートの性能を予測できるようになることを目的として,日夜画像と「にらめっこ」の日々です.
研究対象
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コンクリート中の気泡
メッセージ
モットーは『独創性を持って,コンクリートの材料科学を追究する』です。学生には,engineeringやtechnologyよりも,scienceの眼でコンクリートを見る姿勢を求めています。
SDGsが声高に叫ばれる今日でも,コンクリートに代わる材料を見つけることは困難です。そんな現状にて,これまで「工学的にはこうしておこう」,「実用的にはこれでいい」と曖昧にしてきたことの中に,「そうか,そういうことなんだ」と小さな発見を見つけては,「ムフフッ,自分だけが気づいてしまったこの事実,実際はこんなにも重要で,これまでの問題を解決する糸口ですよ」と世に発信していく,そんな雰囲気の研究室です。
久保 善司 准教授
Kubo Yoshimori
研究紹介
20世紀に誕生したコンクリートはインフラを支えるきわめて重要な材料とし機能し、人々の生活を支える不可欠な材料です。もともとは石材に変わる材料として古代から活用されてています。その特徴は、丈夫で長持ちすることです。しかし、厳しい環境条件にあっては劣化(健全な状態でなくなる)を生じるものもあり、治療を必要とします。また、高度経済成長期に集中的かつ大量に整備されたものが長期間の使用されたものの中にも、治療を必要とするものが多く存在します。インフラ整備は国の発展とともにあり、このインフラの衰退は、国の衰退に繋がることは歴史が証明しています。人々の生活を支えるインフラをいかに守るかが、その国の未来を決定づけることになります。このインフラの一つであるコンクリート構造物・施設を守るため、適切な診断、治療、さらにはより丈夫で長持ちをするコンクリートを開発することに日々取り組んでいます。
研究対象
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コンクリート構造物の補修
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コンクリート中の水分移動の可視化
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モルタルセンサの開発:水をはかる
メッセージ
コンクリートは不思議な材料です。学生の皆さんは、コンクリートと聞いて、硬い固体をイメージするかと思います。中をのぞいてみれば、空隙(孔)だらけ、その孔の中にはアルカリ性の溶液があります。コンクリートに空隙がたくさんあり、水が存在することを知らない人が多いのかと思います。空隙があり、水があるものにどうして、コンクリートは何長持ちするのかを考えてみませんか?また、身近で人々の生活を支えているコンクリートを治療したり、長持ちさせたりする方法を考えててみませんか?そのため、研究では、新しい治療方法や新しいコンクリートの開発をテーマとし、コンクリート材料のミクロとマクロ、化学と物理の両面から研究をしています。、そして、そこから、コンクリート構造物の未来を考え、模索する研究をしています。
柳田 龍平 助教
Yanagida Ryohei
研究紹介
鉄筋コンクリートは,引張に強い鋼材と圧縮に強いコンクリートを組み合わせた社会に欠かせない材料で,これまでもこれからも,橋,道路,ダムなどのインフラだけでなく,建築物も含めて長く至る所で使用されます.私たちの活動を支える構造物を構成するコンクリートは,強靭で(安全で),耐久性に富み(長持ちし),私たちを取り巻く自然環境との調和がとれたものである必要があります.このニーズに応えるため,インフラにかかわる技術者(研究者)には,良いインフラを新しく作り出すことはもちろんのこと,今私たちを支える構造物が劣化しないようにする技術を生み出していくことが求められます.本研究室では,①実際の構造物を模した試験体を対象にした破壊実験やその挙動の数値シミュレーションにより建設構造物の設計手法の高度化,②既存構造物の劣化状況を迅速に診断できるようにするための検査方法の開発,などに取り組んでいます.
研究対象
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コンクリートのひび割れ伸展の様子
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鉄筋コンクリート部材の破壊実験
メッセージ
構造物の一生を考えたことはありますか?ざっくり言えば,計画⇒設計⇒施工⇒維持管理⇒解体です.インフラの一生を考えれば,計画の時点で将来を見据えて維持管理のしやすさや新設までのライフサイクルを長い目線で考えることでより良いインフラを提供できるはずです.本研究室では,破壊実験を通して「設計」と「維持管理」の高度化を目指しますが,学生は,構造物を模した試験体を製作する過程で,計画~施工の流れに直接触れ,インフラの一生を見据えた視野を養うことができます.また,先進技術を世に出すための確かな実験を,一番近いところで,教員と一緒になって体験できます.社会に必要な「確かな力」を一緒につけていきましょう.