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種子島沖でメタンハイドレート採取!

2022年01月19日

種子島沖の研究航海において,琉球海溝域では初めてとなるメタンハイドレートの採取に成功しました.

この研究航海は,神戸大学や琉球大学,高知大学,JAMSTEC,金沢大学の研究者らが「新青丸」(JAMSTEC)を用いて共同で,年末年始にかけて実施されたもので,本学からは地球惑星科学コースに在籍する加藤萌研究員(日本学術振興会特別研究員)が乗船しておりました.

研究航海では,種子島沖の海底に分布する泥火山において水や堆積物(主に泥)の採取や地球物理学的な探査が実施されました.海底の泥は,ピストンコアラ-という海底にパイプを突き刺して円筒状に堆積物を採取する採泥器を用いましたが,1つの泥火山(第15泥火山)の山頂付近から採取された堆積物中にメタンハイドレートが含まれていました.

琉球海溝域には,地球物理学的な探査によってBSR(Bottom Simulating Reflector;海底疑似反射面)と呼ばれるメタンハイドレートの存在を示唆する地下構造が検出されており,メタンハイドレートが広範囲に存在する可能性があります.
今後,泥火山から噴出されるメタンの起源や海底面付近までの供給メカニズム,周囲の海洋生態系との関係性などについての研究が期待されます.

メタンハイドレートを発見した海域の地図
メタンハイドレートを発見した海域の地図.メタンハイドレートを発見した海域の地図.琉球海溝では地球物理学的な探査によってハイドレートの胚胎が予想されていたが,今回の研究公開で実際にハイドレートの採取に成功し,琉球海溝にもメタンハイドレートが存在することが明らかになった.
海底から引き上げた柱状コア
ピストンコアラーから海水が噴き出す様子.試料採取したパイプから勢いよく水が噴き出している.海底よりも温度が高く,低圧の船上に引き上げられたことで,(コアに含まれている)メタンハイドレートが融解してコア内の内圧が高まり,水が噴き出している.
堆積物の柱状コア試料中に見られるメタンハイドレート
採取されたメタンハイドレート.灰色の泥中に含まれる白色の塊状物質がメタンハイドレート.