中西 航 准教授
Nakanishi Wataru
研究紹介
人々は社会のなかで生活し,移動を行います.たとえば通勤や通学,買い物,習い事,出張や旅行です.ドライブや散歩のように移動自体が目的の場合もあります.一人ひとりが思い思いに行動した結果,都市への人口集中や道路の渋滞,郊外化や中心市街地の空洞化,公共交通の廃止などをもたらすことがあります.このような問題を解決するにあたって,いつ,どこに,何人くらいの人が,どのような方法で移動しているか,そして,それはなぜなのかを知ることが必要です.これは同時に,本当は行いたい移動をできていない人はいないか,ひいては現在の都市や交通は多様性を促進するだろうかといった問題を考えるきっかけでもあります.このようなことをデータや調査を通じて丁寧に紡ぎ出すことを目指しています.みなさんがいつどこに行き何を買ったかというような個々人のデータが利活用される社会では,公平性や多様性が大前提となります.世の中の多くの人や組織がこれを大切にすると表明しますが,実際には様々な事情で後回しになる場面が見受けられます.私の研究はそうした類のものではなく,この大前提をつねに一番大切にします.
研究対象
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日々の暮らしの中で
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公平で多様な社会空間
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都市の俯瞰
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歩行空間の快適性
メッセージ
研究とは,まだ世界の誰も解き方の分からない問題に挑戦する,贅沢で豊穣な時間です.残念ながら,多くの大学教員は時間的余裕を失い,本質から遠く離れた場当たり的な仕事に振り回されています.しかし学生には,身近な社会,都市,交通,人々の生活,そんな様々なことをじっくり考える機会と時間があります.そこで生まれる日々の些細な気づきが大きな研究テーマに発展します.いかに厳しい状況にあっても,私の研究室は毎日の研究活動を行うこと自体に価値があり,人それぞれ得るものがある場所でありたい.データと向き合い,短絡的に答えを急がず腰を据えて取り組むことが,人間的成長,ひいてはどんな場でも活躍できる人生に繋がります.